コンプレックス
…かおりさんはいい人そうだし、大まかなことは明かした。
「…そりゃ大変だったね」
「……………」
「男性恐怖症ってことは、何かトラウマ的なことが?」
「…ええ」
「何があったの?」
そこまで話すか多少躊躇う気持ちはあったけれど…
「…小学生の時男子にいじめられてたんです。それを担任の…男の先生に相談したんですけど……」
このことはまだタケルやジェニファーさんにも話していなかった…。
「うん?」
「…今度はその先生に…」
「もういいんじゃね?それ以上話さなくても」
タケルが止めてくれた。
正直…ほっとした。
「あ…ごめんね私…つらいこと思いださせちゃったね。そっかぁ…。でもよかったね!タケルくんみたいな優しい人に出会えてさ!」
「はい…」
「……………」
「…実はね、私も逃亡者なのよ」
「えっ…」
「もう10年にもなるけどね。…私夫にDVしてたの」
かおりさんも自分の過去を話しはじめた。