コンプレックス
「…私、かおりさん信じてみる。かおりさんだって私たちを信用して居場所貸してくれたんだよ?」
「……………」
タケルはその夜、とうとう中には入らず、どこかに行ってしまってた。
…わかっていた。タケルが簡単に女の人を信用できないのは…
「タケル…どこ行ったんだろ……」
かおりさんも帰ってしまって、私はここにひとりきり…。
1日中ずっと…窓から見える海を眺めていた。外には出られない。なんせ指名手配されてるから…
でも…これからどうしよう…
私はあいつに暴行もしてないし、窃盗もしてない!むしろ私は被害者のはず…
逮捕される前に警察に行って、本当のことを話さなきゃ…
でも…
「おーい」
誰か来た!?
いや…この声は…
「タケル…」
「食糧買ってきた」
もう…戻ってきてくれないんじゃないかと思ってたから…
「…何泣いてんだよ」
「泣いてない…!」
「ここキッチンあるよな?ラッキーだったな」
「タケル…?」