コンプレックス

「そうですよ」

「違います、全部嘘です!あの人、ストーカーなんです…!」

「え?」

「叔母に縁談の話し持ちかけられて、会ってお断りしたのに執拗に付き纏ってきて、私ついには失踪したらそこにもまた現れてタケルたち…この人たちのお店にも迷惑かけられたんですあの人に。私あの人に一昨日一晩監禁されてたんですよ!」



興奮気味の私の訴えに対し、警察官は冷めた目をしていた。



「マリッジブルーなんでしょ?」

「え!?」

「そういえばあなた捜索願いも出されてましたね。あまり大切にしてくれる人に心配かけちゃだめだよ」



何これ…なんで私が叱られてるの…?



「ちょっと待ってください!」



タケルが声をあげた。



「まだ何か?忙しいんですけど…」

「こっちが被害受けてるつってんのになんで取り合ってくれないんですか!?」

「だからマリッジブルーなんでしょ?」

「だからそうじゃなって…」

「タケル、もういいよっ…」

「けどっ…」



面倒くさそうなこの警察官の態度に、何言っても無駄な気がして、これ以上の訴えを私は諦めてしまった。


もっとちゃんと、わかってもらえるまで話しておけば……





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