コンプレックス
「いいのかよ?言われっぱなしで」
「…いいよ。とりあえず指名手配犯ではなくなったし」
「あいつが警察に話したこと嘘だらけじゃねぇか。このままでいいのかよ?他の警察官に…」
その時、警察署を出ようとする加藤の姿が見えた。
慌ててタケルの袖を引っ張り、柱に隠れた。
「何だよ!?」
「まだいたの!あいつが…!」
「え…!?」
「……………」
もしもタケルと一緒にいるところを見つかったら、あいつまた…
「タケル…、ジェニファーさんとこに帰って」
「え…けどおまえ…」
「私は…大丈夫だから!」
やっぱりこれ以上タケルにもお店にも迷惑かけられない。
「……………」
「もう十分助けてもらった。本当にありがとう」
「……わかった。帰る」
「うん…」
これで…いいんだよ。
「じゃあ…」
「うん。気をつけて」
「それおまえだろ」
「え?」
「…何か困ったら遠慮なく言えよ。すっ飛んでくるから」
「…ありがとう」
「…あああっ!!」
「何っ!?」