コンプレックス
「なんでもねぇよ!じゃあなっ」
「……………」
たぶん…柄にもないこと言ったって自分で思って、照れたの…か?
ふ…ふふふ。タケルってば…ありがとう。
数日が経った。
私はかおりさんが貸してくれたこの別荘で…ひとりひきこもっている。
もう警察に追われることはないけど、外に出たら…
また加藤に見つかって監禁されたらと思うと恐くて…出れない。
けど…いつまでもこうしてるわけにはいかないよなぁ…。
携帯や財布や免許証の入ったバッグも加藤に取り上げられたまま…
誰かに連絡をとることもできない。
タケルが買ってきてくれた食糧も尽きてきた…。
「……………」
こうして海ばかり見ていても先には進めないって…わかってるけど…
「…んー、…よしっ!」
かおりさんが置いてってくれた服で完全防備の装いで、思い切って外へ…
およそ二週間ぶりにひとりで外を歩く…
いないよね?あいつ…どこかで見てないよね…!?
挙動不審で…私のほうが怪しい感じかも…。
「…あ!」