コンプレックス
運よく実家方面へのバスが来た。
乗ろう…!
幸い乗客も少なく、気楽に席に着けた。
もうすぐ実家付近…ってところだった。
「……!」
あいつだ…!
信号待ちの対向車線側に加藤の車が見えた。
青になるなり、私は窓より下に身を竦めた。
なんで…まさかこの辺を旋回してる…!?
やっぱり実家に帰るのは危険か……はっ!まさか実家に危害を…!?
「ただいまっ、大丈夫!?何も変わったことないっ!?」
「…ユカなの!?」
「ねぇっ…はぁ、はぁ…」
辺りを警戒しながら、やっとこ実家へ辿り着いた。
「びっくりしたわよいきなりそんなダルマさんみたいな…誰かと思ったわ。もうそんな変装しなくても警察には追われないでしょう」
「あいつよ!あの人この辺を旋回してるみたいなの…!」
「あいつって…加藤さん?」
「そうよぉ、さっきそこで…」
「加藤さんさっきうちにいらしたのよ」
「えっ!?大丈夫!?何ともないっ!?」
「何言ってるのよこの子は。加藤さんあなたの忘れ物を持ってきてくださったのよ」