コンプレックス

「お礼、拾ってくれたから、一割だっけ?」

「いらねえ」

「そんな、じゃせめてお名前を」

「個人情報は保護してる」

「あ…じゃご飯おごる!ね?」

「……言わなかった?俺は女が嫌いだ。あんただって男が嫌いなんだろ」

「嫌い…っていうか」

「女と食事するなんてゾッとする」

「…そこまで言わなくても!私はただお礼にって」

「いらねえって言ってるだろ!」

「わかったよ!大きな声出さないでよ…!」



これだから男は…!



「…ごめん。本当いらないから」



なに…急にしおらしくなって…。
私がふるえちゃったから…?



「もう…会うこともない。さよなら」

「あ…」




男はとうとう名も名乗らず暗い夜道に消えてった。



「まぁ…いっか」



やっと…



やっと華のひとり旅行を満喫できるぞぉ~!



「あ…、また道がわからん…」



その後は何もハプニングは起こらず、3泊4日のひとり旅行を無事終えた。



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