コンプレックス
「…友達の別荘」
「友達って、さっちゃん?」
「お母さんの知らない人。じゃあね!」
「あ、どこの別荘?…ユカ!」
あいつが返して来たというバッグも持たず、私はまた実家をあとにした。
「あ…」
免許証だけでも持ってくればよかった…。
「ユカか!?」
「!」
うかつに歩いてたら加藤に見つかってしまった…!
やっぱり旋回してたんだ…
「ユカ!待って」
やだ…!
加藤は車から降りて追いかけてきた。
ぬうっ…服がごわついて速く走れないっ!
「ユカ!」
「いやっ離して!」
捕まってしまった…
ああ…また私、監禁されるの…?
「ごめん!」
「!?」
何!?
…加藤は突然地面に這うように土下座し、
「今までユカを苦しめるようなことばかりして…ごめんね」
「……………」
「反省したんだ僕なりに…」
何…この人本当にもしかして…