コンプレックス

「…何笑ってんだよ?」

「いや…自分でもわかんないんだけど、くくく…」

「おまえなぁ、何だよ昨日の電話」

「あ…そっか心配して来てくれたんだ」

「べつにっ…」

「……………」

「…まだあいつに追われてたんだな」

「……………」

「もう…二ヶ月前か。俺帰ったらジェニファーに怒られたんだぞ」

「え!?」

「なんでユカちゃん連れて帰ってこなかったのよ~って」

「そうなんだ…ふっ」

「あ、また笑ったな」

「だってジェニファーさんのものまねが…妙に似てるから」

「妙は余計だろ」

「はい、すみませんでした」

「何だよそれ…」

「……………」

「……………」




なんだか黙り込んでしまう…。
本当はタケルが今、ここにいてくれてすごく嬉しいのに…。




「尾上さん、男の特徴をもう一度教えてくれますか」

「あ、はい…」

「こちらへどうぞ」




聞かれてる間に、タケルはいなくなっていた。



「タケル…?」




< 78 / 123 >

この作品をシェア

pagetop