コンプレックス
「…何笑ってんだよ?」
「いや…自分でもわかんないんだけど、くくく…」
「おまえなぁ、何だよ昨日の電話」
「あ…そっか心配して来てくれたんだ」
「べつにっ…」
「……………」
「…まだあいつに追われてたんだな」
「……………」
「もう…二ヶ月前か。俺帰ったらジェニファーに怒られたんだぞ」
「え!?」
「なんでユカちゃん連れて帰ってこなかったのよ~って」
「そうなんだ…ふっ」
「あ、また笑ったな」
「だってジェニファーさんのものまねが…妙に似てるから」
「妙は余計だろ」
「はい、すみませんでした」
「何だよそれ…」
「……………」
「……………」
なんだか黙り込んでしまう…。
本当はタケルが今、ここにいてくれてすごく嬉しいのに…。
「尾上さん、男の特徴をもう一度教えてくれますか」
「あ、はい…」
「こちらへどうぞ」
聞かれてる間に、タケルはいなくなっていた。
「タケル…?」