コンプレックス

「え?…悪い」

「っ…~~~…」



悪気なんてなくて、心配してくれてるのはわかっているのに…


本当はこんな冷たい電柱じゃなくて、タケルにしがみつきたかったけど…






「…ごめん。ふぅー。走って泣いたらお腹すいてきた。タケル、なんかおごって?」

「しょうがないな。行くぞ」



私たちはすぐそこにあったファミレスに入り、あまり人目につかぬよう隅っこに座った。





「…食わねぇの?」

「…ねぇ。お腹すいてたんだけど、なんでかな…」

「あいつ、毎日別荘に来てたんだろ?もう今ごろ捕まってんじゃね?」

「あ、そうだ。携帯ないから近くのおばあちゃんちに連絡いくようになってたんだ。ちょっとおばあちゃんに電話してくる」

「あ、これ使えば?」



公衆電話へ向かおうとしたが、タケルが携帯を貸してくれた。





「…そうですか。…ありがとうございます」




警察からの朗報はまだないようだった。



それもそのはず…



警察が完全体制でパトロールしてくれてるであろう今、当の加藤は…



私たちのすぐそばにいたのだ。




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