コンプレックス
さくらなみき
まさかそこにタケルまでいたなんて…
私は今でもまだ放心状態から抜け出せていない。
「ユカ、少しでも食べないと…」
「……………」
食欲なんてあるわけがない。
「こんにちは…ユカちゃん、大丈夫?」
「菊江姉さん!…来ないでくれますか」
「そんな…私はお詫びに来たのよ」
「結構です!…当分はうちの目の前に現れないでください!」
玄関で母と菊江おばちゃんが言い合っているのが聞こえてきた。
「…そう言うけど、あなただって乗り気だったじゃない!」
「あれは…騙されてたんですっ!姉さん、なんであんな人紹介したんですか!?」
「お金持ちだし…良い人だと思ったのよ!私だってユカちゃんのこと考えて…」
「うるさいっ!」
「ユカ…」
「…もうやめて」
なによ…
そっとしておいてほしいのに…
警察の聴取のほか、お見舞いに来てくれる人や新聞記者まで…
誰にも会いたくなかった。
…なんで私こんな目にばかり遭うんだ。
タケル…
どうしてるのかな…