コンプレックス

事件のこと…タケルのほうがもっと傷ついてるかもしれない…。ずっと見せられ…



「っ………」







大企業のトップのストーカー事件だ。全国ニュースで報じられた。




「捕まってよかったわね~。この現場にいたもうひとりの被害者の青年ってタケボウのことかしらねぇ!?」

「きっとそうよ、ユカリンを助けに行ったのよ~」

「ジェニママ、タケボウどうしてるの?」

「それが何の連絡もないのよ…」










やがて春になり、私は桜を見たくなって、母とさんぽに出かけた。
事件後、これが初めての外出だ。



「気分はどう?」

「うん…。桜きれいだね」

「……………」




だいぶ落ち着いてはきたけれど、まだぼんやりとしていた。




「タケル…くんだっけ」

「え?」

「裁判所で何度か会ったけど…いい子よね。あの時も助けに来てくれたんでしょ?」

「うん…」



タケルは…ちゃんと立ち向かってるんだ…。



「意外だった。ユカに男友達がいたなんて…。過去を引きずってたのは私たちのほうだったのね…無用な心配して…こんなことにっ…」



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