コンプレックス

母は自分を責めていた…。



「タケルは…私と同じだったから…」

「え…?」

「…判決の日は私も出廷するよ」

「大丈夫なの?」

「…うん」



私も…ちゃんと立ち向かわなきゃ。



タケル…会いたいな。



でも…どんな顔したらいいんだろ…



「あら、噂をすれば。ユカ、あれタケルくんじゃない?」

「え!?」



うそ…。



桜並木に佇んでいたのはまさにタケルだった。


どうしよう…どうしよう…




とりあえず…近くまで行ってみた。



「……………」



どうしよう…



「た…タケル…」



タケルはちらっと振り向いたけれど、すぐに逆の方へ歩きだした。



「待って…ごめんねタケル!」



タケルは立ち止まった。けど振り向いてはくれず…



「なんで謝るんだよ…」

「だって…その…」

「…悪かったな。助けてやれなくて」

「何言って…タケル助けに来てくれたじゃない」

「……………」

「タケル…こっち向い…」



タケルは背を向けたまま、またどこかへ行ってしまった…。


そりゃそうだよね…



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