コンプレックス
涙のわけ
さっちゃんは泣いて謝ってきた。
けど私は…
「…許さない」
「……………」
「…って言ったらどうする?ははっ」
「ユカ…」
ちょっと脅かしてみた。
「冗談だよ。もう…いいから」
「許してもらおうなんて思ってない…、私、自首したから!」
「えっ!?」
「刑務所までは入れてもらえなかったけど…」
「何言ってるのさっちゃん!子供生まれたんでしょ、そんなとこ入ってる場合じゃないよ」
「……………」
「…さっちゃん?」
「…離婚した。子供も向こうにとられた」
「え…」
「罰があたったんだよ私…」
さっちゃんは見る影もないほどに落ち込んでいた。
さっちゃんだってつらかったんだ…。
私は痩せこけたさっちゃんを軽く抱きしめた。
「さっちゃんのせいじゃないよ。どっちみち…ああなってたんだよ。…だからもうそんなに悔やまないで」
「ユカ……っ」
「ほら見て。私こんな元気になったから…ねっ」
それを示すため、オリジナル即興ダンスをして見せた。
…センスがない、と昔から評判だ。