コンプレックス
「…ふっ」
「ねっ、ねっ?」
「わかった!わかったからもうやめて…笑いたくなるから…」
「笑ってよ…さっちゃん」
「…うん。ありがとユカ」
「…ねぇ。子供には全く会えないの?」
「うん…けどこっそり遠くから見たりしてる…」
「…どうにかして会えるようにしようよ。その時は私にも会わせて?」
「でも…」
「お願いさっちゃん!」
「…わかった。頑張ってみるよ」
「よかったぁ」
「なんか…励まされちゃったな。今日私も後ろにいるからね。ユカも負けないで」
「うん…!」
加藤は、私へのストーカー行為の他にも複数の余罪が発覚し、懲役11年の実刑が確定した。
…私のことは純粋に愛していたんだ、と最後まで言い張っていた。
そんな嘘、通るわけがない。
裁判中も、あいつがそこに居たり、思いだしたりして気分が悪くなったけど…
これでやっと解放される。
もう終わったんだ。
けど…
私たちの傷ついた心には終わりなんてなくて…
「お水もう1本買ってこようか?」
「大丈夫…だいぶ落ち着いてきたから」
「そう…」