コンプレックス

「お母さんトイレ行きたかったんじゃないの?」

「ああ…そうね…」

「私はもう大丈夫だから、行ってきて」

「すぐ戻るからねっ」



ずっと我慢してたんだ。母はあわてて行った。
ごめんね…。



あ…



「ああタケルくん!今夜食事でもどう!?…ああもうだめだ、ちょっと待ってて!」



途中でタケルとすれ違い、声をかけていた。


タケルは…



「…母さんああ言ってたけど、俺もう帰るから」

「そ…そう…」



最後の裁判で久しぶりに再会し、こっちもなかなか話しかけづらく、タケルも話しかけてくれることなかったけど、母がきっかけでタケルが話しかけてくれた。

けどタケル…やっぱりこっちを見てはくれない。



「じゃ…」


「あ…」



タケルがどんどん遠くなってく…



「…待ってタケル!」

「……………」

「あの…えっと…あ…」



…りがとうって言ったらこれで終わりそうだし…



「何だよ…」

「うー………」

「…悪いけど飛行機の時間が」

「連れて帰って!私も……」





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