コンプレックス

手品じゃなくても手品に見える…



「わあっ何これ、おいしそう!」

「ジェニファーが持ってけって…サービス」

「あ…」

「あタケボウ~、ちょうどよかった!こちらのお客様のお相手お願い!あたしあちらに呼ばれてるのよ~、じゃねっ」

「え!?ちょっ…」

「マリアさん手品は~?ふにゃあ~…」



呼ばれてなんかなかったじゃんマリアさん…
ヘンな気遣いは無用だよぉ…。



「………………」

「…いらねぇの?まそんだけ酔ってりゃ味もわからんだろ」



タケルは持ってきたものをさげようとした。



「ちょっと!食べるよっ!せっかく…ジェニファーさんが言ってくれたんだから」

「…どうぞ」



酔いも…なんか一気に覚めたよ。


それは…私が失踪してここにいた時お気に入りだったタケルの十八番、フライドチキンだった。



「う…相変わらずうまい…」



やばい…泣きそう…



「…そりゃどうも」



タケルは裏へ戻ろうとした。



「あちょっと!マリアさん相手してって言ってたでしょ…」





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