コンプレックス
「後始末がてんこもりなんだ。じゃあな」
「わた、私もこれ食べたら手伝うよ、時給要らないから…」
とは言ったものの…
私は食べた食器を持ったままためらっていた。
余計だったかな…
私がいるとタケルは…
「わあっ!びっくりした…」
「さっきから何突っ立ってんだよ、手伝ってくれるんだろ」
バレてた…。
「…いいの?」
「時給要らないんだろ。大歓迎だ」
「…よっしゃ、やったろうじゃない!」
どうやら…私の影がうつってたみたい。
作業中は黙々と…この感じ、懐かしい…。
何もしゃべらないけど、居心地良い。
でも…タケルはそうは思ってないんだよね…
え?
タケル…なんで涙ぐんでるの…?
玉葱…じゃないよね。
やっぱり…来ないほうがよかったのかな…。私がいると、事件も…過去のことまでも思いだしてしまうだろう…。
「ごめんね…」
「…何だよいきなり」
「私無神経だった。私がいたらタケルどんだけつらいか…わかってるつもりだったけどどうしてもあのまま別れたくなくて…」
「…わかってねぇよ」