コンプレックス

「後始末がてんこもりなんだ。じゃあな」

「わた、私もこれ食べたら手伝うよ、時給要らないから…」



とは言ったものの…





私は食べた食器を持ったままためらっていた。



余計だったかな…

私がいるとタケルは…



「わあっ!びっくりした…」

「さっきから何突っ立ってんだよ、手伝ってくれるんだろ」



バレてた…。



「…いいの?」

「時給要らないんだろ。大歓迎だ」

「…よっしゃ、やったろうじゃない!」



どうやら…私の影がうつってたみたい。




作業中は黙々と…この感じ、懐かしい…。
何もしゃべらないけど、居心地良い。


でも…タケルはそうは思ってないんだよね…



え?



タケル…なんで涙ぐんでるの…?
玉葱…じゃないよね。



やっぱり…来ないほうがよかったのかな…。私がいると、事件も…過去のことまでも思いだしてしまうだろう…。




「ごめんね…」

「…何だよいきなり」

「私無神経だった。私がいたらタケルどんだけつらいか…わかってるつもりだったけどどうしてもあのまま別れたくなくて…」

「…わかってねぇよ」




< 98 / 123 >

この作品をシェア

pagetop