デニムとエンジニアブーツ
「今日の格好にこれ合いそうやな」
この前のエンジニアブーツを見せながら言った。
「いいねー私の好きな感じ」
そう言うと隣の席に座ってハルと向かい合わせになった。ドキドキしているのがばれないようになんかくだらないことをペラペラ話した。
「俺、このブーツ入るやつじゃないと付き合えへんなー」
突然ハルが意味のわからないことを言い出したから急にどうしたのと尋ねると、交わされて履いてみる?と返された。
「男の子のブーツはけない女の子なんていないでしょ。」
そう言いながらブーツを受け取り履いてみた。案の定ブーツはすっぽり私の足におさまった。
「よう似合うやん」
ハルが笑いながら私を眺めていてなんだか恥ずかしくなったけど嬉しくもあった。
「ブーツ、ブカブカ?」
「ちょっとおっきいけどそんなにブカブカじゃない。やっぱりいいなーこのブーツ」
ブーツを眺めているとハルがそれ貸したるわと言った。
「え、いいの?ハルのお気に入りじゃん!」
「ええよ、お前なら。よう似合ってるし」
嬉しいとテンションが上がったのはブーツを貸してくれたことにじゃなくて、ハルが私にブーツを貸してくれたことにだ。
「ありがとう!大事に履くね!
じゃあ代わりにハルにも私のスニーカー貸してあげる!」
その日私が履いていたブルーのコンバースをハルに渡した。
「ええん?俺前からこれいいなって思っててんなー」
このちょっと使い込んでる感じがめっちゃいいよなと嬉しそうに語っているハルは相変わらず目が輝いていた。
貰い物だったそれは私には少しサイズが大きかったけどハルにはピッタリみたいだった。
お互いの靴を交換するなんて何だか変な感じで少し楽しかった。