17センチの片想い。
「あ!」
彼が突然大きな声をあげたせいで卵焼きを喉につまらせかけた。
全くなんなんだもう、
なんて思いながら彼を見れば、彼はとても嬉しそうに笑っていて。
それは不機嫌な気持ちも消えうせてしまうようなきらきらとした笑顔だった。
「俺は苗字に月って字入ってるからそこも一緒じゃん!」
なんて言って、
無邪気に笑って私の顔を覗くものだから少しだけ、どきりとしてしまった。
顔、赤くなったりしてないかな…。
彼は、顔はそれなりに整っている方だと思う。
猫目気味の瞳が特徴的で、最初見た時は睨まれているのかと思ってしまったけど。
そんな事も忘れてしまうくらい、瞳を細めてよく笑う。
既によく笑う、笑顔の似合う人という印象がついていた。
だからこそ、彼がアイドルを好きだなんて信じられなくて、
ちょっと流行に乗ってるとかそんな感じなんじゃないかって、少しだけ、疑いはじめていた。