17センチの片想い。


恐る恐る顔を見上げれば、知らない男の子が私の雑誌を見つめていた。

これがファッション雑誌なんかならよかったものの、

残念ながら今日の雑誌は、
表紙に人気沸騰中アイドルななりん大特集!

なんて書かれてしまったがっつりアイドル雑誌だ。


校則が厳しいうちの学校は少しの着崩しでも咎められたりするんだけれど、

目の前の彼は校則で咎められない程度に制服をうまく着崩していて、
髪の毛は黒なものの適度に散らされてお洒落だ。


これは…確実に、絶対に、ひかれている。


どう見てもアイドルなんかに興味はなさそうというかむしろ嫌いそうだ、泣きそう。

何て言って返してもらって逃げようと考えていたところで、

上から声が降ってきた。



「アイドル…好きなの?」

「ひ、は、はい、すみません…」



思わず謝ってしまいながら彼の顔を見上げれば、

今まで無表情に近かった顔がゆっくりと緩められた。


…え?


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