17センチの片想い。
見上げた事で見えた彼の片手には、
私の大事な雑誌が握られていて。
それはもうとっくの昔に分かっていた事なんだけれど、
もう片方の、逆の手にも雑誌のようなものが抱えられていて。
腕にしっかりと抱え込まれているせいで、
表紙はあまりはっきりとは分からないのだけれど、
それでも私には分かる。
ちらりとのぞく淡いピンクの背景、
同じくちらりとのぞくさらさらの黒髪、
(ちなみに黒髪の上には天使の輪)
白い英語で雑誌タイトルが書かれた、
その雑誌は間違いなく、彼が逆に握っている私のだいすきなななりんが表紙の雑誌と同じ雑誌だ。
「あの、もしかして…。」
間違っていたら怒られかねない。
恐る恐る、小さな声で問い掛けようとした私の声は彼の明るい声に遮られた。
「あ、ちなみに俺はりぃちゃん推しだから。」
……アウトだ、この人。