流浪少女
「お会いになりましたでしょう?」

「玄関の、正面にある階段の上に居た、あれか?」

「そうです。ご主人様がご帰宅なさると、教えてくれるんですよ。とても頼りになる相棒です」


ぬいぐるみが、どうやって教えるというのだ。


そんな事を思ったが、口に出さずに話の続きを聞く事にした。

しかしすぐに、ユキは何かに気付いた様子で真後ろを振り返った。

何かあるのだろうか?

フィナもまた、同じ方向を見つめてみる。

「ご主人様が、帰って来られました」

ユキの言葉はとても静かに、驚きと、喜びに満ちた声だった。
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