流浪少女
チェックアウトまでに起きられるかが少々不安だったものの、とりあえず中に入った二人は、置いていた荷物から救急箱を取り出して傷の手当てを始めた。

「チェックアウトは、午前十一時でしたね」

フィナの足に包帯を巻きながら、壁に掛けてある時計を見上げる。

今は、午前五時を過ぎたところ。

「手当てが終ったら、お嬢様は眠って下さい。時間になったら、ちゃんと起しますから」

「うむ。ティスは……?ティスも、ちゃんと眠るのだろう?」

「いいえ、俺は起きています」

少しきつめに巻いた包帯の先を、留め金でしっかり固定させる。

これでフィナの手当ては終了。

続いて自分の腕の傷だが、こちらは思ったより浅い傷の為、塗り薬で済ませる事にした。

緑色のチューブに入った薬を取り出して、椅子に腰掛ける。

「二人一緒に寝過ごしたら、大変ですからね」

「それは、確かにそうだが……」

心配気に見るフィナを「さあさあ」と捲くし立てて、自室へと戻らせた。


そういえば――


ふと、夕食を食べた店内で、「廃墟に居る者を突き止めて、証拠を持って来い」と言われた事を思い出した。


参ったな、すっかり忘れていました。







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