流浪少女
2
まずは、右側の部屋に入った。
「ここは……」
最初に目に入ったのは、木製の椅子。
木製の大きなテーブルに、そのテーブルを囲む様に椅子が数脚置かれてあった。
椅子もテーブルも、見事な鳥の彫刻が施されてある。
「ダイニングルームの様ですね」
周囲を照らして人が居ないのを確認していると、一番右奥の窓ガラスが割られている事に気が付いた。
歩み寄って更に調べてみる。
割れた窓ガラスの破片は、絨毯に散らばったままになっていた。
大きさから見ても、誰かが侵入した跡と見て間違いないだろう。
「この部屋には、誰もいないみたいです」
「うむ。他の部屋に行こう」
次に入った部屋は、屋敷の入口から見て左側の部屋。
「こっちは、台所……と言うより、厨房ですね」
大きな流し台が奥に一つと窓がある方の壁に一つ、出入り口の扉がある方には、巨大な冷蔵庫と食器棚があった。
「余程の大家族だったのだな」
「その様です。さて、他を周りましょうか」
「うむ」
踵を返して厨房を後にすると、再び奇妙な物音が響き渡った。
先程と同様に大きな物が落ちる様な音に加えて、ガシャンっという窓が割れた様な音――
かなり近くに聞こえたというのに、人の気配は全く感じられない。
「気味が悪いな」
少女がぼそりと言う。
「早く済ませて、戻りま―…」
そこまで言い掛けて、ティスは何かに気付いたらしい。
少女を自分の背中へと押しやり、飛び掛かって来た何かを片腕で受けて、もう片方の腕で壁際へと流す。
次に聞こえて来たのは、壁に激突した音と男性の呻き声。
急な攻撃を確かに受けたはずのティスだったが、壁へ流した時の手応えが無かったのに驚いた。
「ここは……」
最初に目に入ったのは、木製の椅子。
木製の大きなテーブルに、そのテーブルを囲む様に椅子が数脚置かれてあった。
椅子もテーブルも、見事な鳥の彫刻が施されてある。
「ダイニングルームの様ですね」
周囲を照らして人が居ないのを確認していると、一番右奥の窓ガラスが割られている事に気が付いた。
歩み寄って更に調べてみる。
割れた窓ガラスの破片は、絨毯に散らばったままになっていた。
大きさから見ても、誰かが侵入した跡と見て間違いないだろう。
「この部屋には、誰もいないみたいです」
「うむ。他の部屋に行こう」
次に入った部屋は、屋敷の入口から見て左側の部屋。
「こっちは、台所……と言うより、厨房ですね」
大きな流し台が奥に一つと窓がある方の壁に一つ、出入り口の扉がある方には、巨大な冷蔵庫と食器棚があった。
「余程の大家族だったのだな」
「その様です。さて、他を周りましょうか」
「うむ」
踵を返して厨房を後にすると、再び奇妙な物音が響き渡った。
先程と同様に大きな物が落ちる様な音に加えて、ガシャンっという窓が割れた様な音――
かなり近くに聞こえたというのに、人の気配は全く感じられない。
「気味が悪いな」
少女がぼそりと言う。
「早く済ませて、戻りま―…」
そこまで言い掛けて、ティスは何かに気付いたらしい。
少女を自分の背中へと押しやり、飛び掛かって来た何かを片腕で受けて、もう片方の腕で壁際へと流す。
次に聞こえて来たのは、壁に激突した音と男性の呻き声。
急な攻撃を確かに受けたはずのティスだったが、壁へ流した時の手応えが無かったのに驚いた。