野良猫みたいな男 ■

一瞬、間が開いて大輔の叫び声が響く。


「はぁーー?!!」


「あっ。私!私が、朝子っ。
 ちょっと、あなたも説明してよっ。
 私、あなたと浮気を疑われてるのよっ。」


あわてて私が、自己紹介する。
そうだ、
この人にちゃんと説明してもらったら、
誤解も解けるわっ。



「へーー。意外と古風な名前だったんだね。
 で?お前は・・アサコの恋人?」

彼はじぃっと大輔を見つめる。
相変わらずソファーにごろんとして別に焦る様子もなく
くつろいでいる。

大輔も彼を キッと 睨み返した。

「そうだよ。
 で?お前こそなんだよ。」

「オレ?

 ----うぅーーん?



 アサコの猫?」


んーーーっと背伸びをしながら彼は
ソファーの上で寝返りを打った。





大輔には不信感だらけで
そんな冗談は通用するはずはない。

そもそも、私の言葉も届いていないのにっ。





< 11 / 99 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop