野良猫みたいな男 ■

私はじっと彼を目で追ってしまった。

なんなんだろう
この人は。


不意に彼は立ち上がると、
ネクタイをポイッとキッチンのカウンターに投げ捨てて、
私の後ろに回り込んだ。


「ーーあの?・・・きゃあっ。」

後ろから、彼の手が回り込んで
私を軽々持ち上げた。

抱っこ とか
そういった感じじゃない。

「やっ。離してーー」

「黙って。」

まるで、荷物でも運んでるかのように
私を子供のように抱き上げて、
先ほどまで彼が占領していたソファーへ
ポンと置かれた。



そして、小さな子供をあやすように、
頭をポンポンと撫でられた。

「え?」


ーー意味が分かんない。

なんなんだろう。この人。



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