野良猫みたいな男 ■

「いいね。これ」

「え?」

彼は机に放置された写真を指差して、
つぶやいた。

さっき大輔との喧嘩の原因になった
彼と猫との写真。


「アサコはカメラマンなの?」

「え?一応写真スタジオで働いてるけど…
 趣味で写真をやってるわ。」

「へぇ。アサコって何歳?」

「26歳。って、女性に年をきくのは失礼じゃない?」

「そう?」

彼は気にもせず、どすんと私の隣に腰かけた。


「あなた。名前は?」

「オレ?」

彼は不思議そうな顔をして私を見つめた。

「おれはーーアサコが好きなように呼べば?ダイスケでもいいぜ?」


「・・・・は?」




彼は突然突拍子もないことを
平然と口にした。


そんな彼氏と同じ名前で呼べるわけない。


まだ、彼氏かどうかも分からないけど。


自分で自傷して思わず苦笑いをしてしまう。

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