野良猫みたいな男 ■
ふわぁと一つ欠伸をした彼は、
シャツのボタンを2つあけた。
「ちょっと・・・
くつろぎすぎじゃない?
写真はできたんだし…帰れば?
名無しのノラ猫さん?」
ふぅーーと私はわざとらしく名も名乗らない彼に
厭味ったらしくため息をついた。
だいたい名乗らないって、失礼じゃない?
「--野良猫?オレのこと?
ふーん。いいね。」
もう一度写真を見つめてから、納得したように彼はうなずいた。
『野良猫』と言われて納得されても。
「だから・・・名前は?
仕事とか何しているの?」
一応シャツにネクタイだ。
働いているんだろう。
髪の毛は赤のメッシュの茶髪だけど、
そんなヤンキーってしている印象は少ないように感じる。
なんか、
彼の雰囲気は穏やか・・・というかマイペースだ。
「うーん。仕事はサービス業。
名前は・・・
ーーー」
「え?なに?聞こえなかった。」
「-----。。。---」
「え?」
「女の子みたいって笑うなよ?」
「は?」
「ーーー俺の名前は、・・・ナギサ。」
ぼそっと彼はうつむいてつぶやいた。