野良猫みたいな男 ■

「ねぇ、ナギサって仕事って
 どんなことやってるの?」

私は、シチューをお皿によそいながら聞いてみた。

うーん
意外と、『美容師』とか・・・『バーテンダー』とか
そういったのも似合いそうだ。


「仕事?」

ちょっと、ナギサは顔を傾けて考えたそぶりを見せたけど、

「そうだ。おれ、シチューにはたっぷりコショウをかけたい。」

「は?・・・あ。
 あるわよ?」

なんだか、うまくはぐらかされたけど、
カウンターの上に二人分のシチューとコショウを用意した。

いただきます。とつぶやいてから二人でシチューを食べ始めた。

なんだか、間が持たないのでテレビをつける。



「・・・おいしい?」

無言で、食べるナギサに一応聞いてみる。

「--うん。
 甘くて、優しい味がする。」

「そう?」

なんでもない感じで返事を返したが、
実はすごくうれしかった。


シチューは、ちゃんと、ホワイトソースも手作りなんだ。


思わず、ふふ と口が緩む。


ぽん。とナギサが頭を撫でてくれる。

「なっーーに??」

流石に、頭を撫でられると、気恥ずかしい。

「おいしい。
 ありがとう。」

ナギサのその顔がいけなかったんだと思う。

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