野良猫みたいな男 ■
ナギサはふんわり笑って「おいしい。ありがとう」と言った。
ずっと、無表情だったし、
何考えているかわからないし、
会話もたまに、無視されたり
この人、変な人だし。
きっと、
超・マイペース☆と思ってたし。
だから、だから!!
あんなに、優しく
綺麗に笑うなんて、反則だっ。
ギャップに驚いただけ!
私はまだ、大輔が好きなんだからっ!!!
でも、思いとは裏腹に、
高鳴る胸と、どんどん紅く熱くなる顔は抑えられなかった。
「アサコ?」
不思議そうに、
見つめる、やっぱり無表情な彼。
さっきの笑顔が嘘みたいーー。
「アサコ、具合悪い?
顔が真っ赤だし、目も潤んできてるし。」
「--え?
ちっ 違うの。大丈夫だから。
ほら、シチューが冷めちゃうよ。
早く食べよう?」
あわててごまかすようにスプーンを動かし始めた。
横目で見るナギサはやっぱり無表情でシチューをすすっている。
入れすぎじゃない?
ってほどコショーを振りかけるのをみて、
やっぱり『変な人』・・・と私は、くすっと笑った。