野良猫みたいな男 ■
今日はちゃんと私の話を聞いてくれるのだろうか?
昨日の出来事がふとよぎる。
全然、ナギサのことを『浮気相手』だと言って
ここにいる理由も聞いてくれなかった大輔。
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わかった。
じゃぁ、7時ね
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送信ボタンを押しながら、ふぅとため息をつく。
「朝子ちゃん~?彼氏と喧嘩?
ため息しながらケータイ見つめちゃって。」
「きゃ。
いきなり後ろに立たないでください。武井さんっ。
そんなんじゃありませんよ。」
あわてて、携帯電話を隠すように机に置いた。
「ふーん。
じゃぁ、デートの約束?」
「---まぁ、そうでもないんですけどね…」
はぁ。とまた無意識にため息が出る。
「やだなぁ、朝子ちゃん。
まだ若いのにため息なんかついて。
幸せ逃げちゃうよ?」
「やだ、武井さんも若いじゃないですか?」
「あはは。朝子ちゃんから見たら、35歳なんておっさんだろ?」
武井さんは
笑いながら、朝子のそばに座って、コーヒーをすすった。
「あ。武井さん。またお客様用からもらいました?」
「---。一杯だけな?」
そういって武井さんは、
いたずらっ子のようにニヤリと笑った。