野良猫みたいな男 ■

***


今日は早番だったので、
仕事も落ち着いていたので5時に上がった。

大輔との約束の時間まで少しある。

ふと、
頭にナギサのことがよぎる。

ーーうーん。着替えてから行こうかな。

ナギサはご飯とかどうしているんだろう?
夕飯も・・・

「なっ。なんで私があんな奴の心配をするのよ。」

そもそも、居候も認めてなんかないっ。





店からアパートは近い。


歩いて20分ぐらいだけど。
がちゃっとドアを開けると、
今朝と同じように、茶色いナギサの靴が揃えられて、置かれていた。


ーーいるんだ。


ふと、部屋を見回すと、
そこが定位置化のようにソファーの端に座って、
すやすやと寝息を立てているナギサがいた。


「あれ?」

ーー服が変わってる。
しかも、髪形も…ちょっとセットしている?


今朝は大輔の室内着をつけていたはずだ。
今は昨日のスーツ姿とは打って変わって、
ジーンズにシャツとインナーとラフな格好。

家に帰ったのだろうか?

「そのまま、帰ってくれてもよかったのに。」

ふぅ、とため息をついた。
私の心を知ってか知らずか
すやすやと無防備な寝顔のナギサを見て、苦笑した。


さて、準備をして大輔に会いに行かなくちゃ。





< 27 / 99 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop