野良猫みたいな男 ■
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今日は早番だったので、
仕事も落ち着いていたので5時に上がった。
大輔との約束の時間まで少しある。
ふと、
頭にナギサのことがよぎる。
ーーうーん。着替えてから行こうかな。
ナギサはご飯とかどうしているんだろう?
夕飯も・・・
「なっ。なんで私があんな奴の心配をするのよ。」
そもそも、居候も認めてなんかないっ。
店からアパートは近い。
歩いて20分ぐらいだけど。
がちゃっとドアを開けると、
今朝と同じように、茶色いナギサの靴が揃えられて、置かれていた。
ーーいるんだ。
ふと、部屋を見回すと、
そこが定位置化のようにソファーの端に座って、
すやすやと寝息を立てているナギサがいた。
「あれ?」
ーー服が変わってる。
しかも、髪形も…ちょっとセットしている?
今朝は大輔の室内着をつけていたはずだ。
今は昨日のスーツ姿とは打って変わって、
ジーンズにシャツとインナーとラフな格好。
家に帰ったのだろうか?
「そのまま、帰ってくれてもよかったのに。」
ふぅ、とため息をついた。
私の心を知ってか知らずか
すやすやと無防備な寝顔のナギサを見て、苦笑した。
さて、準備をして大輔に会いに行かなくちゃ。