野良猫みたいな男 ■

軽くシャワーを浴びて、
着替えたところで
リビングのソファーの大きな『猫』が目を覚ました。


「・・・--ふわぁぁ。

 アサコ!帰ってたのか?
 おかえり。」

「・・・ナギサ。おはよう。
 ねぇ、一度家にでも帰ったの?
 いつまでウチにいるつもりなの?」

ナギサはうーんと伸びをしながら、つまらなさそうにもう一度欠伸をする。

「仕事に行ってただけ。」

「仕事?」

ーーー意外だ。なんの仕事だろう。

「ねぇ、ナギサの仕事って何?」

「ーーアサコ。出かけるの?」

…またごまかされた。
 よっぽど言えない仕事ーーとか?


アサコは、髪を束ねながらナギサを見つめた。

「そうよ。ちょっと出かけてくる。
 
 ね、ナギサはいつまでいるわけ?
 一応、女の子の一人暮らしなんだけど。」

「しってるよ?」


「だーかーらー。
 いつまでもいられると迷惑なんだけど。」

「なんで?」

「は?」

ーーなんで??


「なんでって・・・あなたのことよく知らないし・・・
 ご飯だって光熱費だってかさむし・・・」

「でも、ココに居たいんだけど、ダメか?」

ナギサがすっと立ち上がって
近づいてくる。

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