野良猫みたいな男 ■
じーっと黒い瞳に見つめられて、
私は不覚にも、ドキドキしてしまう。
ナギサは変な人だけど、やっぱり顔も整っていて
黒い瞳がーーーー
あれ?
私は思わず、両手でナギサの頬をはさんだ。
「いてっ。」
「・・・・・・ナギサ。」
じーーっと見つめる。
やっぱり黒い、漆黒の吸い込まれそうな瞳。
「目の色・・・昨日と違う。」
そうだ。昨日は違う色だった。
グリーンのようなブルーのような深い不思議な色。
その不思議な瞳がナギサによく似合ってて、
何とも言えない雰囲気があったのだ。
「・・・アサコ。
頬が痛いんだけど。」
「---え?あっ。え。ごっごめんなさいっ。」
余りの近い距離に焦って、
ナギサを突き飛ばすように、離れた。
ーーキッ・・・キスしそうな距離だった・・・
はーーっとこっそり心臓を落ちつけようと深呼吸。
「よく気が付いたね。アサコ。カラコンなんだ。」
「そうなんだ。コンタクトであんなに不思議な色があるんだ?
グリーン?ナギサによく似合ってると思うわ。」
「・・・・・・・」
ナギサはちょっと止まって、考えるように首を傾けた。