野良猫みたいな男 ■
「あっ。やだ。
もう、時間がないじゃないっ。」
ふと時計に目をやると6時30分を少し過ぎたところ。
待ち合わせに遅刻しちゃう。
ちゃんと、
大輔と仲直りしなくちゃ。
「あー、行ってらっしゃい。」
ナギサがヒラヒラと手を振る。
「ちょっと・・・
私が帰ってくるまでいる気?」
「いるけど?」
「---大輔とこの部屋に来るかもしれないのにっ!
だからーーー」
「ダイスケって。あぁ・・・
じゃぁ、仲直りしたら連絡して、
オレ、ちゃんといなくなるから。
ダメだったらアサコを慰めてやるから。」
ふっと優しく笑って、ぽんと頭を撫でられる。
ーーーっ。だからその笑顔がっ。
かぁっと顔が紅くなる。
一瞬ぼーっとナギサを見つめてしまった私に、ナギサがメモを渡す。
電話番号だ。
もう、いろいろ言いたいことがあるけど、
そんな文句を言ってる場合じゃない。
「もぉっ。
じゃ、あとで連絡するからっ。」
「いってらっしゃい。アサコ。あー、口紅つけすぎじゃん?」
ナギサに、唇を親指でぐいっと押し付けられて、
また、顔が熱くなるけど、
ソレを振り払うように、私は急いで部屋を後にした。
もうっ。
なんなのよ。あの居候!!!!