野良猫みたいな男 ■
トイレに入るふりをしながら、
私は大慌てでメモを取り出す。
書かれている番号を押して、コール音を待つ。
8回目のコールで
『はぁい?』
と、眠そうな声が出た。
「ナギサ?ちょっと、まだ部屋に居座ってるの?」
『んー?
あぁ。アサコ?
もしかして、フラれた?』
「冗談っ!それどころか、ラブラブよ。」
『あっそ。
じゃぁ、オレとりあえず出ていくよ。
部屋に来て
やるんだろ?』
「やだ、やめてよ。」
でも、声は楽しそうに否定する。
電話口でナギサが笑った気がした。
ナギサは鍵は
後で返すからと言って、
電話を切った。
ーーーん??
後でって・・・?
と一瞬思ったが、
待たせている大輔も気になるし、
急いで、トイレをでて
外へと向かった。