野良猫みたいな男 ■
「お前、家、どこ?」
「えっ?」
「コレ、気に入ったからプリントアウトして。」
彼は、トントンとデジカメの液晶画面を軽く指ではじいた。
「---は?」
私は、何を言われてるかわからなくて、
思わず顔をしかめて、彼をにらんだ。
怒っているわけでもない笑っているわけでもない、
ただ、ちょっとつかみどころのない無表情で
彼は、私を見つめ返した。
「だから、デジカメもってるぐらいだから、
パソコンもプリンターもあるだろ?」
「そりゃ… あるけど」
「しかも、歩いてこの公園に来てるぐらいだから、
近所だろ?」
「そりゃーーー」
「じゃ、決まり。案内して。」
ぐいっとその彼に腕をつかまれて
公園の出口へと引きづられている。
あぁ・・・
なんて強引ーー。
でも、『この写真が気に入った』という言葉が気持ちよかったし、
勝手に彼を撮ってしまったという罪悪感から、
私は彼を部屋へ案内してしまったのだ。