野良猫みたいな男 ■
おいしい料理だった。
懐石料理とかをイメージしていたんだけど、
そんな堅苦しいことはなく、
定食のような感じで出てきた。
もちろん
高級な上品な味っていうのは
変わらないんだけど。
個室も
木の香りがする畳の個室で
間接照明がやんわりとムードを演出している。
和風なんだけど
どこかモダン。
軽くノックがして
ふすまがすっと開く。
「ナギサさん。お嬢さん。
食後はコーヒーで・・・」
「あぁ。
なぁ、アサコにデザートも出してよ。
もう少し太った方が、俺好み。」
「ちょっ。何言ってるのよナギサ。」
せっかく最近ダイエットして3キロ落としたのよ!
「何?紅茶がいいの?」
「あ。それはコーヒーで。」
紅茶も好きなんだけど、
食後は少し苦めのコーヒーが好きだ。
解りました。と くすくすと笑って、
ふすまをすっと閉められた。
・・・・違うっ。
「ちがーうっ。
私は、太りたくないのっ。」
「だから?」
あっさりと
ナギサは言い放つ。
はーーとこっそりとため息をして
もう反論するのも諦めた。