野良猫みたいな男 ■
コーヒーもおいしかった。
私好み。
一緒に出てきたモンブラン風のケーキが
なんだか雰囲気にミスマッチでちょっと笑えた。
「ねぇ。ナギサって何者?」
コーヒーを口に運ぶ目の前のナギサに声をかけた。
「何者って…」
少し困ったように、首をかしげる。
「だって、こんな高級そうなお店の常連さんみたいだし…
だいたい、何の仕事をしているとか
何歳とかもわからないしーーー」
「あぁ。
プロフィール的な?」
ナギサはふっと綺麗に整った口の端を上げて笑った。
思わず、どきんと胸が高鳴り見とれてしまった
自分に戸惑ってしまう。
だから!!
そういう表情に見とれちゃうのよっ。
なんて、わけのわからない
言い訳を自分自身にしてしまう。
「アサコ?」
「へっ!? あっ。 そっそう。
プロフィール的な…なんだっけ?」
「…ぷっ。
あははっ。
何それ。アサコどーした?」
よっぽど私の返事がおかしかったのか、
ナギサは珍しく声を上げて笑った。