野良猫みたいな男 ■

「あはは。
 仲がいいんだなー
 
 ナギサがここに他人を連れてくるのも珍しいし。

 朝子ちゃん。
 変な弟だけどよろしくね?」

ーーーー・・・・弟?

「って・・・・もしかして、実さんって…」

思わず指をさして、
ナギサと実さんを交互に見やる。

「あ・・・
 もしかして…何も聞いてない?」

困ったように苦笑する実さんに私はゆっくりとうなずく。

私は、ナギサのことなんて
何も知らない。

年も、仕事も名前だって『ナギサ』ってことしかわかんない。


「はぁ・・・。

 ナギサ…お前なぁーーー」

「何?」


実さんは大きくため息をついてナギサをにらんだ。

ナギサは何が悪いのと言わんばかりに
ふんぞり返りながら
コーヒーを口に含んでいた。


「本当に、なんかごめんね?朝子ちゃん。

 僕はナギサの兄の松本実です。
 ここの料理長やってます。
 
 えっと、ナギサとは結構年が離れてるんだけど、今年37歳だよ。」

「あっ。あのぉ・・・
 ナギサってーーー

 何歳なんですか?」

「へっ??」

実さんが柔らかい笑みを曇らせた。



 
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