野良猫みたいな男 ■
深雪さんは「そうなんだーー」と呟いてから、
何やら名刺を取り出して、
さらりと何か書き込む。
「ナギサのことで困ったら、ここに連絡して。
後ろは私のプライベートの番号。」
綺麗な笑顔で
私に名刺を渡した。
「はぁ・・・」
多分、困ることなんてーー
だって、
かかわる気なんてないし。
「じゃ、ナギサを連れてくわね?
実ちゃん。またね。」
「はい。今日もおつかれさまだね、みーちゃん。」
実さんはふふふと笑って
手を振る。
次の瞬間たくましい男たちがばっと現れた。
みるからに、「ボディーガード」
「げっ。ミユキ!!
なんで、こいつらを」
「だって、こうでもしないと、あなた逃げるでしょぉ?
さーーいくわよぉ」
あははは~と笑いながら
たくましい男どもに引きずられるナギサを引き連れて去って行った。
私はただボー然とその様子を見ていた。
「あははは。たくましいだろ?みーちゃんは。
朝子ちゃんもよかったらまた来てね?」
実さんは
楽しそうにニコニコ笑った。
はぁ。と私は
なんだかよくわからない足取りで
店を後にした。