野良猫みたいな男 ■
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「適当に座って待っててください・・」
私の後ろを黙ってついてきた彼は、
軽くうなずくと、
ソファーの上にどかっと座った。
私はテレビをつけて、
リモコンを彼の前において
奥の寝室のパソコンの電源を付けた。
まぁ、一応オートロックではあるけど、若干古めのアパート。
その3階が私の部屋。
角部屋でベランダから西日が入るのが
まぶしいぐらいだが、
私は気に入っている。
言っとくけど、
家族と彼氏以外でこの部屋に案内する男は
この人が初めてだ。
ふぅ。
とどこからともなく漏れるため息を
おもわず吐いた。
「なぁ、水のんでいい?」
「え?あっ。はいっ。」
後ろから、声がかかる。
思わず、声が上ずる。
私の返事を待たずして、彼は勝手に冷蔵庫を開けて、
ペットボトルを取り出していた。