野良猫みたいな男 ■
「おはようございます。」
店内に私の声が響く。
いつものように
店内の電気をつけて、
店の周りの掃除をやりに、表へ出た。
朝の少し凛とした空気が私を包む。
うん。
やっぱりイイよね。朝独特の空気。
身が引き締まる。
店内に戻ると、
いつものBGMに、ふんわりとコーヒーの香り。
「武井さん。またお客様用のをーーー」
「あ。おはよう朝子ちゃん。
一杯だけだよ。」
武井さんは、いつものように
にかっと笑った。
「そうだ。
今日は午前中に100日写真の『ならし』のお客様が入ってるから。」
「はーい。」
赤ちゃんの写真は
よく、ならしで何回か来店する人がいる。
人見知りの激しい子や
初めてくる場所でなかなかいい笑顔を見せてくれなかったり。
場所に慣れてくれるように、
なんどか来店していただいて、
写真を撮る。
もちろん、一回の来店で笑ってくれる子は笑ってくれるんだけど…
「今日の子はご機嫌だったらいいんだけどなぁ~」
「あはは。朝子ちゃん、ご機嫌だったら今日
撮影に入ろうね?」
「はーい。じゃぁ、撮影の準備もしておきますね?」
いつものように
仕事をし始めた。
いつものような、普通の日常だった。