野良猫みたいな男 ■
「なぁんだ。」
ナギサ。
着信は別に待ってもいない人。
あ。でも、合鍵も返してもらってないし。
ちょっと戸惑ってから
電話に出た。
「もしもし。」
『家?』
「…そうだけど?
私、いまナギサにかまっている暇はないから、
またね。」
『デート中?邪魔したな』
ぷっ と何のためらいもなく通話が途切れる。
ーーーちょっと!
余りにもそっけない態度に
イラっとする。
思わずナギサにコールをする。
「ちょっと。なんでいきなり切るのよ。」
『…なんだ。
アサコはおれの声が聴きたかったのか?』
「ちがっーーーー」
『何の用?』
呆れた。
電話を最初にかけてきたのはそっちなのにっ。