野良猫みたいな男 ■

イラっとして、
思わず携帯電話を握りしめる。


「もうっ。
 電話をしてきたのはナギサでしょっ。」

『あぁ?そうだけど?』

だから何?
と言わんばかりに
小ばかにしたようにふっと電話口で笑い声が聞こえた。


もうっ。

ホントなんなの?


『そうだ。
 アサコに会いたかったんだ。』

「は?」

突然そんなことを言われて、
思わずどきんとするけど、すぐに不信感に代わる。


なにが言いたいの?ナギサは??


『だから、

 アサコに会いたいんだけど?』


ナギサの電話越しに聞こえる
少し甘い声に
耳の中をざらっと撫でて
ゾクリとする。


ナギサになんてときめいている場合じゃないのに。



「なっ。なんで?」


『鍵。必要なんじゃないの?』


私は、一瞬でもときめいた自分に恥ずかしくなった。


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