野良猫みたいな男 ■

「・・・早かったなぁ?」

ナギサがびっくりしたように
ごくりとジョッキを持ち上げてビールを飲んでいた。


食事がまだ並んでいないところを見ると、
ナギサも来たばかりなんだろう。


「べっ別にーー急いで来たわけじゃ。」

ちょっと
必死な自分に余計あせって
言葉がどもってしまう。

ナギサは
ふっと 優しそうに笑った。


「ふふ。
 ここのご飯うまいしな?」


その笑顔に思わず胸が高鳴る。

だからーー
その不意打ち笑顔は反則って…


また見とれてしまった
自分にちょっとため息をついてから
ナギサの向かいの席に座る。

携帯電話はしっかりと机の上に置いて・・・

ちらりと見るけど
着信やメール受信はしていない見たい。


「はぁ。」

思わずため息が漏れる。


ナギサは
一瞬私の方を見たけど
別に追求することもなく、
ビールをごくごくとおいしそうに飲み干した。


「アサコ。飲む?」

「あ。うん。」

軽く返事を返した。

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