野良猫みたいな男 ■

少しグラスに残っていた
しぶきがテーブルにはねた。


「ーーーおい。
  
 飲みすぎじゃないか?」


「うるさい。ナギサ。」


イライラする。



ナギサは綺麗な眉をひそめて
やれやれとため息をつく。

「あのなぁ。アサコ
 一応、ここ『居酒屋』じゃないんだからーー」

「うるさい。ナギサっ!」


もー。
いいじゃない。



泣き叫ぶ代わりに
飲ませてくれたって。




「いいよ。」

「へ?」

なに?


「なにかあったんだろ?ダイスケと。
 好きなだけ飲めよ。

 言いたいことがあるなら言えば?
 泣きたいなら泣けば?」

「・・・・」

心の声が漏れてたかしら。

驚いて
ナギサの綺麗な瞳をじっと見つめる。

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