野良猫みたいな男 ■
「アサコ。ケータイなってた。」
眠そうに
めんどくさそうに
勝手に
冷蔵庫からペットボトルを出して
飲んでいるナギサが
カウンターに放り投げられた携帯を指差した。
チカチカと
着信を知らせる光。
ちらりと携帯を確認をすると
「大輔」
胸がきゅっと
いたくなる。
でも、
逃げても始まらないし
「・・・はぁ。」
「アサコ?」
ナギサが覗き込むように
私に声をかけた。
「・・・別に。
ちょっと電話してくるね。」
濡れた髪をタオルで拭きながら
携帯を持ってベッドルームへと逃げる。
そっと
扉を閉めてから
もう一度着信を見た。