野良猫みたいな男 ■
「しかも、実家暮らしってずっと言ってたのに
一人暮らしだったのよ。
その『婚約者』が来るから
ずっとだましてたのよ。
私のことーーーー」
三年間も・・・
運命だなんて
幸せを感じてただなんて
いら立ちと
もやもやした気持ちが入り混じって
なんだか、
叫びたい気分。
「なぁ。」
ナギサが呆れたように
グラスを取り上げた。
「なんで、俺は呼ばれたわけ?」
「フラれた女が一人でバーカウンターに座ってヤケ酒なんて
さみしいじゃない。
いいじゃない。
愚痴に付き合ってくれても。」
「・・・オレだって忙しい。」
ナギサはちらりと時計に目をやると、
やれやれとため息をついた。
私のことは散々振り回しておいて、
この態度?!
不満そうに
ナギサをにらむと、
ナギサは卑怯なまでの綺麗な顔でふっと笑った。