野良猫みたいな男 ■

「しかも、実家暮らしってずっと言ってたのに
 一人暮らしだったのよ。
 
 その『婚約者』が来るから
 ずっとだましてたのよ。
 私のことーーーー」


三年間も・・・


運命だなんて
幸せを感じてただなんて




いら立ちと
もやもやした気持ちが入り混じって
なんだか、
叫びたい気分。



「なぁ。」

ナギサが呆れたように
グラスを取り上げた。


「なんで、俺は呼ばれたわけ?」

「フラれた女が一人でバーカウンターに座ってヤケ酒なんて
 さみしいじゃない。

 いいじゃない。
 愚痴に付き合ってくれても。」


「・・・オレだって忙しい。」

ナギサはちらりと時計に目をやると、
やれやれとため息をついた。


私のことは散々振り回しておいて、
この態度?!


不満そうに
ナギサをにらむと、

ナギサは卑怯なまでの綺麗な顔でふっと笑った。


< 92 / 99 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop